LIVE REPORT from RUGBY STADIUM

Back

○観戦記録 法政大学 vs 東海大学(2003年11月1日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/11/01) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 法政大学  :前半: 0  0  1  0  3 |
       :後半: 2  1  1  0 15 |  18  5
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 東海大学  :前半: 0  0  0  0  0 |
       :後半: 1  1  0  0  7 |   7 22

◎出場メンバー

 法政 : 1.三浦 2.水山 3.長沼 4.篠塚 5.鬼頭 6.佐藤(崇) 7.大隅 8.岡崎
      9.穂坂 10.森田 11.風巻 12.田沼 13.金澤 14.山本 15.小吹
     (16.寺山 17.福田 18.森 19.山崎 20.成田 21.玉川 22.和田)

    ○交替  1→17(後11分入替), 2→16(後19分入替), 8→19(後37分入替)

 東海 : 1.倉田 2.大里 3.楢岡 4.豊田 5.湯井 6.梶村 7.湯浅 8.太田
      9.吉田 10.小原 11.大平 12.高倉 13.柴原 14.陳 15.三木(佳)
     (16.満田 17.岩本 18.田中 19.百武 20.宇野 21.姫野 22.新井)

    ○交替 7→18(後20分入替), 1→16(後31分入替), 18→19(後37分入替),

 レフリー :田中 (日本協会)  タッチジャッジ : 斎藤、高津、鬼澤

◎得点経過

 法政大学    0                    3                             3
                                    P    x      x
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
           
 東海大学    0                                                  0


 法政大学    3      8     11   18                              18
                T     P   xG
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                                         G
 東海大学    0                               7                  7

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗

◎得点者

 法政:前半19分 金澤(PG)
    後半 5分 森 (T)
      11分 金澤(PG)
      16分 大隅(T)、金澤(G)

 東海:後半30分 大里(T)、小原(G)


◎試合内容

[試合前の雑感]

1部リーグ復帰後着実にパワーアップを果たし、上位グループに定着しそうな
勢いの東海大。さらに上を目指したい東海大にとって、厚い壁となって立ちは
だかっているのが法政大である。昨年、一昨年と意外なほどの点差がついて敗
れている。

相性の善し悪しがあるのかどうかはわからないが、一つ考えられるのは東海大
のプレースタイル。組織的で無駄のないラグビーではあるが、やや攻撃が単調
になってしまうきらいがある。直球勝負となった場合は球速の速い方(法政)
に軍配が上がってしまうというようなこともあるのではないだろうか。法政が
過去、けっこう、曲球系(大東や日大)に対して苦戦していることを思うと、
そんなことも考えてみたくなる。

そんな戯れ言はどうでもよしとして、東海大に今年こそ一波乱!を期待してキ
ックオフを待った。

[前半の戦い]

負傷者のことを言っても仕方がないが、やはり東海大のスタメンにHO高、S
O三木(康)、CTB鈴江、WTB沼田らの名前がないのが残念に思われる。と
くに東海大にとっては貴重な「タメ」が作れる三木の欠場は痛い。法政もLO
佐藤平、CTB野村が不在(大東大戦で負傷)だが、それほど戦力ダウンとい
う感じはしない。選手層の厚さの面で見れば、東海大はまだまだ2強に及ばな
いといったところであろうか。

曇り空の中、東海大のキックオフで始まったこの試合。いつも序盤は相手にペ
ースを握られてしまう今シーズンの東海大であるが、今日も例外ではなかった。
前半の20分までは東海大はまったく敵陣に行けない状態。それも、東海陣バ
ックスタンド側ゴール前付近で、東海大反則→法政ボールラインアウト→モー
ルで前進→サイドアタック→東海執拗なディフェンス(最後は反則、または法
政ノックオン)→法政ボールラインアウト、が何度も繰り返され、グランドの
隅っこだけでラグビーが行われる、BK勝負のチーム同士とは思えない状況。

法政はPGが楽に狙える位置でも「頑なに」タッチキック→ラインアウトを選
択。簡単に取れると思ったら、予想以上に東海の抵抗が厳しくてそのままずる
ずると行ってしまった感じ。FWに固執すれば、ボールをテンポよく動かす法
政の持ち味は全く出てこない。モールコラプシングが多いきらいはあったが、
東海の簡単にはゴールを割らせない粘り強いディフェンスは見応えがあった。

15分にそんな膠着した状態を打開すべく、法政はドロップゴールを狙うが失
敗。ようやく得点表示が動いたのは19分だった。東海大が自陣22mライン
付近(ゴール正面)で犯した反則に対して、法政は「ついに」PGを選択。約2
5mの距離を金澤が決めて法政が3点を先制した。続く24分にも法政はゴー
ル正面やや左25mの位置でPGのチャンスを得るが外してしまう。前試合も
そうだったが、金澤はさほど難しくない位置からのPGが苦手なようである。
法政ちょっといやなムード。

30分にも25分と同じような位置で法政はPGのチャンスを得るが、金澤が
またもや失敗。こうなると試合の流れは東海大に傾かざるを得ない。PG失敗
はさておいても、法政はノックオンなどのミスが多く、なかなか攻撃の波に乗
れなかった。東海大のディフェンス(とくに前に踏み込むタックルができてい
た)が良かったこともあるが、これまでの相手とは違って、FWのセットプレ
ーで苦戦を強いられたことも大きかったように思われる。いつになく法政のF
Wがスクラムでナーバスになっていたような感じ。

前半終了間際の38分、東海大は絶好のチャンスを得る。法政陣右サイドゴー
ル前での5mスクラム。しかしながらスクラムを押したところで東海大FWが
反則(FWが肩を外した?)を犯し得点できず。東海大も気負いがあったのか
肝心なところでミスが目立った。この辺りは、どんなプレーも自然体でこなし
てしまう関東学院の選手たちとの(小さいようで)大きな差と言えそうである。

圧倒的に法政が優位に立っていた前半ではあったが、気が付いてみれば法政の
得点はPG1本の3点のみ。いつになくちぐはぐな前半の法政であった。

[後半の戦い]

キックオフ直後に法政はまたしても東海大ゴール前でラインアウトのチャンス
を得るが得点できず、いやなムードを引きずる。その直後の2分に今度は東海
大が法政ゴール前でラインアウトのチャンス。しかしながら、今度は法政が東
海大ボールをスティールして事なきを得る。

(3分にLO篠塚の代わりに1年生の森が一時交代でピッチの中へ。何てこと
はない光景であるが、結果的にこの交代がこの試合のポイントになる。)

そして、法政にやっといつものテンポが出てきた。4分には東海大陣でのスク
ラムのチャンスから、ショートサイドに展開しショートパント。WTB山本が
インゴールでこのボールを押さえたかに見えたが惜しくもノックオン。東海大
はピンチを脱した(かに見えた)。

その直後の5分、今度は法政はHWL付近のカウンターアタックからSH穂坂
が大きくゲインし右オープンに展開。最後にインゴールに飛び込んだのは電光
掲示板にも名前が出ていない一時交代選手の森。この後篠塚が復帰して森はベ
ンチに退くが、スタンドからの「ご苦労さん!」の声に恥ずかしそうにお辞儀
する姿が、何とも微笑ましくもあった。

やはりグランドを大きく使えば法政のもの。今一歩調子が出ないとは行っても
仕事人揃いの高速FWの動きは健在。しばしば東海大ボールをターンオーバー
するなど、速さとボールへの執着心の強さが法政を救ったとも言える。法政は
11分にPGで3点を追加。14分にゴール正面30mのPG失敗があったが、
その直後に法政FWが東海ボールをターンオーバーして最後はFL大隅がトラ
イを奪いリードを18点に拡げる。

肝心なところでミスを犯しなかなか得点できないこの日の東海大であったが、
終盤の30分にチャンスを掴む。法政ゴール前のラインアウトからモールを形
成して押し込みHO大里がトライ。残り時間から見ても、もう1トライ取れれ
ば十分に逆転可能な状況で、東海大応援席は大いに盛り上がった。

そして、32分に東海大に決定的なチャンス。キックオフに対するカウンター
アタックからHWL付近まで前進し左オープンに小原が絶妙のキックパス。W
TB大平の手に収まればそのままインゴールまで行けそうな状況だったが惜し
くもノックオン。東海大は逆転に向けた必死の反撃を見せるものの、ゴールラ
インは遠かった。ここ一番でのボールキープ力の差が勝敗を分けたと言えそう
である。

[試合後の感想]

東海大の反則数は22個(法政は5個)。さすがにこれでは勝てない。法政の
PGが決まっていれば点差はもっと開いていた。ただ、法政がちぐはぐだった
とはいえ、東海大の健闘ぶりが光った試合だったと思う。両校の力の差は確実
に縮まっていると感じた。あとはここ一番での集中力とプレーの精度の向上。

法政は3週間後に控えた関東学院戦を前にして「かなり」不安を感じさせる出
来。今日のようにミスを重ねていたら大量失点負けも覚悟しなければならない。
スタンドから「法政のラグビーをしろ!」の声が聞かれたように、前半のFW
に固執したゲームプラン?も疑問だった。FWの強い関東学院相手には通じな
い戦法。次の中央大戦でこの辺りの立て直しを期待したい。

Edited by Kazunori KONO, 1/Nov/2003   Back