LIVE REPORT from RUGBY STADIUM

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○観戦記録 流通経済大学 vs 日本大学(2003年11月9日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/11/09) 於:熊谷ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 流通経済大学:前半: 3  2  0  0 17 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  31 11
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 日本大学  :前半: 1  0  0  0  5 |
       :後半: 2  1  0  0 12 |  17 16

◎出場メンバー

 流経 : 1.中井 2.湯原 3.小沼 4.神白 5.鈴木(学) 6.ローゲセン 7.佐藤 8.清水
      9.森(洋) 10.アンダーソン 11.森竹 12.土生 13.大石 14.徳永 15.森(大)
     (16.紙田 17.伊勢田 18.グレイ 19.鈴木(敬) 20.備瀬 21.永山 22.鈴木(陽))

    ○交替  4→18(後13分入替), 6→20(後13分入替), 7→19(後13分入替),
        15→22(後17分入替), 2→17(後23分入替)

 日大 : 1.北島 2.上田 3.高橋 4.ラタ 5.古賀 6.山口 7.トーエツ 8.津田(健)
      9.塩谷 10.大神 11.梅澤 12.河野 13.水田 14.藤原(丈) 15.藤原(誠)
     (16.飯田 17.中村 18.津田(大) 19.タフィア 20.八重樫 21.松下 22.武居)

    ○交替  11→21(後0分交代), 4→18(後17分交代), 2→17(後17分入替)
        17→16(後38分入替)

 レフリー : 相田(日本協会)  タッチジャッジ : 橋本、加藤、猪原

◎得点経過

 流通経済大学  0                  7          14  19              19
                                  G           G  T      x x
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                    T
 日本大学    0          5                                       5


 流通経済大学 19                                    24     31    31
                                              T      G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
             G        T          x
 日本大学    5   12       17                                   17

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗

◎得点者

 流経:前半17分 清水(T)、森大(G)
      29分 アンダーソン(T)、森大(G)
      32分 徳永(T)
    後半35分 土生(T)
      42分 森竹(T)、大石(G)

 日大:前半 9分 FW(T)
    後半 2分 津田健(T)、松下(G)
      11分 藤原丈(T)

◎試合内容

[試合前の雑感]

前に書いたように、私がリーグ戦ウォッチャーとなったのは、流通経済大が1
部リーグでの初勝利を記録した試合(対中央大戦)を観たことがきっかけであ
った。実はその流経大とともに熱い思い入れを持って見てきたチームが日本大
学。このチームカラーがまったく異なるチーム同士の対戦はいつも尋常ならざ
る気持ちで観戦している。どちらが勝っても嬉しいし、どちらが負けても残念
といった感じ。

もちろん、両チームに対する思い入れの度合いはシーズンによって微妙にバラ
ンスが異なる。一度チーム状態がどん底(あくまでも私見)に落ちたところか
ら這い上がり、着実にチーム力をアップさせている流経大に対して、大学選手
権ベスト4以降(期待に反して)徐々にチーム力を落としてきている日大。と
いうことで、最近はどうしても日大に対するテンションは下がり気味なのが正
直なところ。

実は、この試合も日大が流経大に対してどの程度抵抗できるかということが着
目点であった。流経大もFWが強力なチーム。雨模様(小雨)というコンディ
ションもあり、激しい肉弾戦が期待された。

[前半の戦い]

序盤から強力FWでタテを突く日大とオープンに展開してFWから離れたとこ
ろで勝負しようとする流経大ががっぷり四つ。両チームの意図が明確に現れた
息詰まる試合展開となった。とくに、この試合では日大FWのまとまりがとて
もよく、FWの局地戦で日大が優位に立つ場面が多く見られた。

最初に得点を挙げたのはその日大。9分に流経大ゴール前でのラインアウトの
チャンスでモールを押し込みトライ。この強力FWによる得点は日大に勢いを
もたらす。以後15分くらいまでは日大ペースの展開となった。アタックだけ
でなくディフェンスの局面でも、ラックでもFLのトーエツらが流経大ボール
を持ち前のパワーでしばしば奪取する働きを見せた。

しかしながら、17分に日大に痛恨のミスが出る。自陣ゴールを背にしたマイ
ボールラインアウトでスローイングのミスがありボールはすっぽり流経大No.8
清水の手に収まる。清水はただ目前のゴールに飛び込むだけで良かった。コン
バージョンも成功し流経大は難なく逆転に成功。これはFW戦でやや劣勢であ
った流経大にとって、文字通り大きな「プレゼント」となった。

ゲームの流れは流経大へ。29分にはカウンターアタックからFWを中心とし
た細かい繋ぎで着実に前進して日大ゴールに迫り、最後はSOアンダーソンが
トライ。コンバージョンも成功しリードを9点に拡げる。さらに流経大は32
分にもカウンターアタックから右WTB徳永がトライ。流経大、完全に押せ押
せムード。日大は頼みのスクラムが少なく、ラインアウトが多い展開となって
しまったことがやや誤算。再三にわたってピンチをチャンスに変えた流経大C
TB大石の安定したロングキックがこの試合でも光っていた。

前半終了が近づく中、少しでもリードを拡げたい流経大は39分と41分にも
PGのチャンスを得るがいずれも失敗。14点リードではもちろん安心できな
いものの、流経大にとってはまずまずの前半であった。

[後半の戦い]

後半の立ち上がり2分。今度は流経大に痛いミスが出る。自陣22m内からタ
ッチを狙ったキックを日大No.8の津田がチャージに成功しボールはインゴール
内に転々ところがる。これを、そのままインゴールに走り込んだ津田が押さえ
て流経大のリードは7点に縮まる。

さらに11分。日大期待の大型WTB藤原(丈嗣、U21代表)が豪快なラン
ニングを披露してトライ。自陣でのターンオーバーを起点としたオープン攻撃
から60m以上を一気に走りきった。注目度の点では関東学院の有賀に劣るも
ののこの選手もジャパンの次代を担う逸材であることに違いない。ディフェン
ダーの間を切り裂くとでも言ったらいいのか、タックラーが止まって見えてし
まう走りを後半にしばしば見せて日大ファンを大いに沸かせた。

これで流経大のリードは僅か2点に縮まる。追い上げムードの日大がいつ逆転
してもおかしくない展開。そんな中、21分にビッグプレーが生まれる。先に
トライを決めた藤原丈が流経大ディフェンダーのタックルを振り切りながらイ
ンゴールへ!というところを流経大で一番小さいアンダーソンが渾身のタック
ルで阻止。ここでトライが決まっていれば、勝負の流れは一気に日大に傾くこ
とが決定的であっただけに、結果的にこのタックルが流経大に勝利を呼び込ん
だと言えそうである。

アンダーソンは1年生ながら既に流経大の事実上のゲームリーダーとなってい
る。素晴らしいアタックのセンスと技術を持っているからであるが、上記のよ
うな身体を張ったプレーを再三見せていることが、チームメイトの厚い信頼を
勝ち得ていることも大きいと思われる。この日はもう一回、足下にタックルを
決めて藤原丈を一発で倒すシーンが見られた。

日大も手の届くところまできた勝利に向けて、強力FWを軸としたアタックで
流経大を脅かす。しかしながら、せっかくのチャンスもミス(ノックオンやラ
ックでのノットリリースなど)で潰してしまうことの繰り返し。耐えに耐えた
流経大が終盤の36分と42分にトライを連取してノーサイドとなった。

[試合後の感想]

敗れはしたが日大はおそらく今シーズン最高の出来ではなかっただろうか。強
力FWの復活を軸にしたチームの立て直しは着実に実を結びつつある。マイボ
ールは(時間がかかっても)確実にインゴールまで持って行くことを目標にプ
レーの精度を上げていけば面白いラグビーが出来上がると思う。あとはディフ
ェンス力。こればかりは組織的に対応しないといけないのでしっかり取り組ん
でほしいと思う。

流経大も楽しみである。試合を重ねるごとに存在感を増しているアンダーソン
はまだ1年生であることがその最大の理由。また、ロングキック以外でもBK
の核としても頭角を現してきたCTB大石も2年生。チーム全体としても精神
的に随分と逞しくなったのが何よりも嬉しい。

両チームとも持ち味を十分に発揮しての接戦。いい試合だった。

Edited by Kazunori KONO, Nov/9th/2003   Back