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○観戦記録 関東学院大学 vs 法政大学(2003年11月22日)

関東大学ラグビーリーグ戦グループ1部(2003/11/22) 於:秩父宮ラグビー場

<試合結果>

            T  G PG DG 得点 | 総得点 反則
 関東学院大学:前半: 4  3  0  0 26 |
       :後半: 5  4  1  0 36 |  62 16
 +-----------------+-------------------------------+-------------+
 法政大学  :前半: 1  1  0  0  7 |
       :後半: 3  2  0  0 19 |  26 12

◎出場メンバー

 関東 : 1.北川(喬) 2.山本 3.山村 4.堺田 5.犬飼 6.林 7.鈴木 8.八木
      9.小畑 10.田井中 11.水野 12.河津 13.霜村 14.北川(智) 15.有賀
     (16.土肥 17.田中 18.坂本 19.高安 20.大鰐 21.藤井 22.山下)

    ○交替  なし

 法政 : 1.福田 2.水山 3.長沼 4.篠塚 5.佐藤(平) 6.佐藤(崇) 7.岡崎 8.磯岡
      9.穂坂 10.森田 11.小笠原 12.田沼 13.金澤 14.山本 15.小吹
     (16.谷口 17.中村 18.鬼頭 19.山崎 20.成田 21.玉川 22.坂元)

    ○交替  3→17(後8分入替), 14→22(後22分入替)

 レフリー :岩下 (日本協会)  タッチジャッジ : 小野塚、藤、平林

◎得点経過

 関東学院大学  0            7    12         19       26          26
                      x     G    T          G        G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                              G            x
 法政大学    0                    7                             7


 関東学院大学 26       33         40 47 52         55  62        62
                 G           G G  T           P  G
    時間     0----+----1----+----2----+----3----+----4----+ 得点
                     G                 G   G
 法政大学    7           12                19  26              26 

 ※時間×10分,T=トライ(5点),G=トライ+ゴール(7点),P=PG(3点),D=DG(3点),x=PG失敗

◎得点者

 関東:前半11分 北川喬(T)、霜村(G)
      16分 水野 (T)
      27分 水野 (T)、霜村(G)
      36分 山本 (T)、霜村(G)
    後半 6分 水野 (T)、霜村(G)
      18分 田井中(T)、霜村(G)
      20分 水野 (T)、霜村(G)
      23分 有賀 (T)
      35分 霜村 (PG)
      38分 水野 (T)、霜村(G)

 法政:前半19分 磯岡 (T)、金澤(G)
    後半10分 佐藤平(T)
      28分 佐藤崇(T)、金澤(G)
      32分 小吹 (T)、金澤(G)


◎試合内容

[試合前の雑感]

中央大戦を除き、圧倒的な強さを見せてこれまで6連勝の関東学院。であるが、
ここまで見てきたところでは「本当の強さ」を見せていないように感じられる。
もちろん、これは関東学院が手を抜いているということではなく、ここまでの
相手が(残念ながら)関東学院の強さを引き出すまでに至らなかったというこ
と意味している。

法政もここまで6連勝。関東学院同様、危なげなく勝利を収めてきた。今シー
ズンのリーグ戦Gの覇者を決める重要な試合であることとは別に、関東学院の
本当の強さを法政が引き出してくれるのでは、という期待を胸に秩父宮に向か
った。心配された風もさほど強くなく、まずは一安心である。注目を集めた関
東学院のハーフ団は、結局小畑と田井中のコンビが起用された。

[前半の戦い]

関東学院のキックオフで試合開始。関東学院FWが法政FWに強力なプレッシ
ャーをかけて、法政は自陣ゴール前10mまで一気に押し込まれ、たまらずオ
フサイド。PKからラインアウトのチャンスはノット5mで潰してしまうもの
の、関東学院FWのこの試合にかける気迫がよくわかる凄まじい先制パンチだ
った。続く2分にも関東学院は法政ゴール前10mの位置でスクラムのチャン
スを得るが、アーリープッシュを取られて得点に結びつけられず。ただ、気迫
が空回りという印象は受けなかった。

5分に関東学院は右中間30mの位置で得たPKのチャンスにPGを狙うが失
敗。強力なFWのプレッシャーに押され気味であった法政がFB小吹の突破を
足がかりにようやくペースを掴み始める。しかしながら、このピンチを田井中
のロングキックが救う。自陣からのタッチキックが一気に法政陣22mライン
付近まで届き、ピンチが一転してチャンスに。この日の田井中はキックだけで
なくアタックでも大活躍で、期待に十分以上に応えていた。

法政は関東学院FWの圧力をもろに受けた格好で、なかなか自分たちのテンポ
で試合をさせてもらえない。序盤戦はほとんど自陣で戦う苦しい展開。高さで
優位に立っているはずのラインアウトの調子までおかしくなってきた。そして
11分、関東学院に待望の先制点が生まれる。ゴール前で得たPKからFWが
モールとラックで前進し、最後はPRの北川喬がトライを奪った。

また、16分には関東学院は法政陣でのラインアウトから左オープンに展開。
ライン参加したFB有賀がゴール前までゲインし、内側に切れ込んだ左WTB
水野がパスを受けてそのままゴールに飛び込み5点を追加。関東学院が完全に
試合のペースを握るかに見えた。

しかしながら、その直後の19分、法政が関東学院陣の22m内にキック。そ
のボールを拾った関東学院選手が味方にパスしたところを法政No.8磯岡がイン
ターセプトしてそのままインゴールに飛び込む。法政はこのラッキーなトライ
で7点(ゴールキックも成功)を返し、ようやく反撃ムードが整ってきた。た
だ、この段階でもいつもの法政らしい攻撃はなかなか出ない。やはり、FWで
プレッシャーを受けていることが、テンポいい球出しに繋がらない。

27分には法政のラインアウトでのミス(法政ボールを奪取)から再び関東学
院が得点を奪う。自陣からオープンに素早く展開しCTB河津が大きくゲイン
最後は水野がこの日2つ目のトライ。再び関東学院のリードは12点に拡がっ
た。得点には繋がらなかったものの、続く29分にはNo.8八木→LO犬飼→P
R山村の強力なタテ突破で50m以上ゲインする場面も見られ、関東学院の押
せ押せムード。

32分に法政はゴール正面35mのPGを失敗。36分には法政にまたもライ
ンアウトのミスから失点。ミスに付け込むのが上手い関東学院とは言っても、
ちょっと法政らしくない前半。法政自慢の突き刺さるタックルも不発。前半で
の26失点は法政にとっては誤算だったに違いない。

[後半の戦い]

後半も先制したのは関東学院。6分に今度はスクラムだった。法政ゴール前で
の法政ボールスクラムを押し込みターンオーバー。ラックからHO山本が抜け
出しトライ。関東学院はリードをさらに拡げる。

しかし、ここで法政も食い下がる。10分には関東学院ゴール前のラインアウ
トからLO佐藤平がインゴールに飛び込み5点を返す。おそらくサインプレー
だと思うが、モールを作らずに細かいパスでポイントをずらしたのが功を奏し
た格好。

法政は何とか逆転のために少しでも点差を詰めておきたいところだったが、1
8分と20分に立て続けにトライを奪われ、予想だにしなかったであろう35
点の点差がついてしまった。とくに20分の失点は関東学院陣内へ攻め込みな
がら水野にインターセプトを許したショッキングなもの。ここで勝負は決した。

法政は28分と32分にトライを奪うものの時既に遅し。関東学院に安心感が
出ていた時間帯であった。35分には関東学院は余裕のPG。そして38分に
は法政キックオフのボールに対して、関東学院は自陣からカウンターアタック
を仕掛け水野がこの日4つ目のトライ。最後まで法政が自分のテンポで試合を
することがほとんどできないままノーサイドとなった。

[試合後の感想]

予想を超える関東学院の圧勝。勝因はFW戦で法政を圧倒できたことに尽きる
と思う。やはり山村主将の復帰でFWがさらにパワーアップした印象を受ける。
個々が強力でありながら、しっかりボールを活かす技術(巧みなボディコント
ロール)と意識が各選手に浸透していることが強みであろう。強力FWでも、
スクラム自慢、モール自慢で終わってしまうチームとはひと味もふた味も違う。
大学選手権での強豪チームとの対戦が俄然楽しみになってきた。

法政は今日はすっかり関東学院の引き立て役に終わってしまった感じ。気合い
が空回りしてしまったのか、ちょっとプレーに落ち着きがなかったように感じ
られた。幸い大学選手権まで時間があるので、じっくり立て直して欲しいと思
う。ただ、スピードとテンポだけでは克服できない大きな壁があることがわか
ったことは確か。来シーズン以降に向けての小さくない課題と言えそうである。

Edited by Kazunori KONO, Nov/22nd/2003   Back