2007年6月議会(第2回定例会)一般質問より
1.要援護者支援について
 災害時要援護者支援のしくみづくり
 私は従来から、新座市等のように、社会福祉協議会の地域組織としての地区社協等、地区単位で、民生委員、町内会、ボランティアグループ等のネットワークで住民の手による地域福祉推進のしくみづくりを提言してきました。
 志木市では未だ具体化されていない中、一方で災害時の要援護者支援のしくみづくりをどうするのか、市民の関心は高まっています。
 私は、日常的な高齢者、障がい者等への地域での見守り、サポート体制と、災害時の支援体制を一体として進めていくべきではないかと考えます。
 志木市に隣接する富士見市水谷東公民館だより2月号(住民の手による編集)によれば、水谷東地域では昨年度の消防庁モデル事業指定を受け、水谷東地域安心安全ネットワーク会議を組織し、新しい支援システムを進めています。災害時要援護者の登録をすすめ、町会・自主防災組織・市が災害時の対応を、民生委員・社会福祉協議会が日常の対応をする。災害時の支援と日常の地域ケアシステムをあわせて行っていこうというものです。
 こうした、縦割りを超えたしくみを市では検討し、地域社会に働きかけていくべきではないでしょうか。
 これに対し、金子健康福祉部長は 「庁内に推進会議を設置し、検討を始めた。災害の発生時に高齢者や障がい者等に対して的確かつ迅速な安否確認、避難誘導を行うためには、平常時からあらかじめ所在を把握し、地域の支援者を決めておき、町内会や民生委員等と連携した日頃の見守り活動が必要と考えており、地域社会でのしくみづくりについて検討を重ねていく。」 とのこと。
再質問では
@ 個人情報については当事者の了承を得て行う。
A 8月25日の総合防災訓練で社会福祉協議会等とも連携して検証し、実効性を高めていく。
B 天田 「65歳以上の要援護者の登録に関して民生委員がご苦労下さったにもかかわらず、その後どうなったのかが見えないとの指摘があり、タイムリーな連絡調整を」 に対し、「民生委員へのPRが不足していた部分もあるので、今後またご協力いただきながら進めていきたい。」 を確認しました。
 市では障がい者からのご意見も聞きながら、今年度中に要援護者支援システムをまとめる予定とのことです。


2.リハビリテーションについて
 切れ目のないリハビリテーションの提供について
 2006年度からの介護保険法見直しに合わせて、志木市で従来保健センターが行っていた機能訓練が行われなくなりました。 「対象者の殆んどが要介護認定を受けており、介護保険のサービスを受けられる。40歳〜64歳の障がいのある方は、地域活動支援事業(従来の障害者デイサービス事業)で機能訓練を受けられる。」 との保健センターの説明ですが、当時市としてサービスの総合調整が行われなかったことは問題があるといわざるを得ません。
 同様の見直しをした和光市では、予防プラン作成等により2006年4月当初から介護予防事業が行えないため、4月〜6月は従来のサービスを提供しつつ、新たなサービス体系に移行したということです。
 2006年度は医療保険の診療報酬改定で、脳梗塞などの脳血管障害に関わるリハビリテーションについては180日間という日数制限が設けられ、社会問題になりました。現在は医師の指示があれば行えるようになりましたが、このような問題もあったと考えられます。
 また、介護保険の老人保健施設は、病院から在宅に移行するまでのリハビリテーション機能を有する施設ですが、「サービス計画通りに機能訓練を受けられない。」「○さんだけではないから(手がまわらない)といわれてしまう。」 など、当事者や家族が不安を抱えるケースも見受けられます。
 デイサービス(通所介護)についても機能訓練が充分でないため、2009年度からの次期介護保険制度の見直しでは、機能訓練に特化したサービスを設けるという国の方針も出されています。
介護保険のサービス事業者に対する指導は市が行うこととされています。サービスの量を確保し質を上げるための点検、評価、改善を求めつつ、必要な支援を行っていくべきです。
 リハビリテーションは理学療法士等による機能訓練だけを指すのではありません。

 リハビリテーションとは障害者が一人の人間として、その障害にもかかわらず人間らしく生きるようにするための技術及び社会的、政策的対応の総合体系であり、単に運動障害の機能回復訓練の部分だけをいうのではない。(厚生省・厚生白書 1981年)
 リハビリテーションの定義
 障害を負った人に対して精神的、身体的かつ社会的に最も適した機能水準の達成を可能にすることにより、各個人が自らの人生を変革するための手段を提供してゆくことを目指す、目的指向的かつ時間を限定した過程を意味する。 (国連 障害者に関する世界行動計画 1982年)
 今日の介護予防及びリハビリテーションのあり方は、目的指向型です。
 洗濯、買物、調理等の生活機能(IADL)を評価し、ケアマネジャーが本人、家族と共に目標をつくり、それが達成できるように本人の意欲を引き出しつつ歩行、動作、衣類の着脱等の日常生活動作(ADL)を維持・改善していくことが大切です。
 こうしたICF(国際生活機能分類)を活用したあり方を、私は全ての福祉サービスで実践していくべきと考えます。
 さらに、それらを本人、家族だけではなく、地域社会のあらゆる機関、組織、人々が協力しあってとりくむ地域リハビリテーション、地域ぐるみの介護予防につなげる地域包括支援センターを核とした取り組みが、とても大切です。
天田いづみの提言
 金子健康福祉部長からは「認識はしており、人材的な資質も非常に求められる部分があるが、個々の到達目標やそのための過程の検討など、地域ケア会議等を更に充実させ、きめ細かな体制がとれるよう、検討していきたい。
 評価、検証に関わる市内部はじめ事業者、関係機関の連携は極めて重要であり、リハビリテーション等のサービスの質のチェックも行いながら体制整備を進めていきたい。」との答弁がありました。


3.公園、緑地政策について
 公園、緑地政策について
 つつじ児童公園(中宗岡5丁目)は借地のため、9月末をもって閉鎖、返却しなければならず、大変残念です。親水公園こもれびのこみちについては約6000uが地権者から寄贈されることになり、大変ありがたいことですが、さくらのこみち等も一部は借地、羽根倉児童公園(上宗岡3丁目)、秋ヶ瀬児童公園(下宗岡4丁目)、児童遊園地等8ヶ所も借地です。
 本町地区は住宅密集地にもかかわらず公園が少なく、本町6丁目では、近年児童遊園地2ヶ所が開発に伴い閉鎖されました。
 緑地を地権者から借り上げ保全しているふれあいの森(5ヶ所)も、保全が求められます。
 新座、朝霞等近隣市では、2004年度に設けられた都市緑地法の特別緑地保全地区という制度(指定することによって相続税等の優遇措置)を活用して公有地化(国庫補助1/3以内)しています。
 1月の子ども議会でも「自然の保持、緑化の拡大」「公園が少ないので増やして欲しい」「安全で思いきり遊べる公園を」等の質問が多く出されました。
 防災拠点としての機能も重要です。
 学校用地だけでも全て買い取るには約24億円見込まれる等、大変厳しい財政状況下ですが、何の政策もなく放置してよい問題ではありません。
 市民とともにつくられた志木市緑の基本計画(2003.3)は、再三の市民や議会での指摘(天田)にもかかわらず、いまだに進行管理がなされていません。
 長沼市長は 「公園用地の取得は大変厳しい状況。緑の基本計画は進行管理を徹底することの1つのタイミングとしても適切な時期に見直す必要性がある。」 とのことですが、新座市は緑の保全を市民とともに行うグリーンサポーター等、保全や管理のための活動にとりくむ、朝霞市も市民向けに「緑の便り」等それぞれ広報活動にも力を入れています。
 公園緑地担当者が近隣市のホームページも見ていないということでは困ります。
 志木市民は財政状況の厳しさをよく認識し、職員が決して万能でないことも承知しています。その上で、「一生懸命職員がやろうとしている姿勢があれば、市民は一生懸命応援する。」 という市民の切実な声を、私は聴いています。今の志木市に一番重要なことであり、市長には、職員の意欲を引き出すマネジメントを求めます。


4.踏切の安全対策について
 「踏切自動支障警報機システム」と非常時の警報ブザーの併用設置について

→こちらをご覧下さい

5.学校教育について
 志木市の教育の進むべき方向性について
 「中学校通学区選択の自由化」に伴い2006年度から新入生については4月から指定校変更を認めることになり、指定校変更者は06年度25名、07年度42名と増えています。
 殆んどが志木中学校への進学希望で、教室はほぼ満杯状態、部活動が活発なだけに校庭も手狭になっています。こうした実態についても市民にお知らせしながら、ここで2年間の検証をし、対応策をとっていくべきではないでしょうか。
 「学校の適正配置」については、私が従来から主張してきた 「子どもたちの発達段階及び地域の実態に即した教育が行われるべき」 との観点から、志木市教育委員会は地域の実態、子どもたちや家庭の実態を正確に見つめながら、それぞれの学区、地域に応じてどのような教育を展開していくのかというビジョンを示していくべきです。間違っても「適正配置ありき」ではないだろうと考えます。
 仮に、学校の規模がある程度変わることがあったとしても、教育の目的を今以上に達していくものでなければならない。それが主眼にならない適正配置の検討はあり得ないと考えています。
 柚木教育長は 「通学区選択の自由化については、検証を更に深めて今後の制度の定着を図っていきたい。
 適正配置については子どもたちの視点に立った教育的観点を踏まえながら適正配置を進めていきたい。いろいろな要素も加味しながら総合的にとりくんでいきたい。」 とのことですが、学校選択性については、今までのように異動した生徒についての検証だけでなく、その他の子どもたちも含めた、学校教育全体にとってどうなのかという観点での検証をすべきです。
 教育委員会には、学校教育が良くなるように支援していく責任があります。学校発信ではなく、教育委員会がしかけていった施策なのですから、きちっと検証すべきです。
 私が考える志木市の教育は、個々の学力の向上等は当然のこととして、「地域立学校」ということが非常に重要だと思っています。学校規模にかかわらず、地域に根ざしたきめ細やかな、地域住民と一体となって進めていく地域立学校でなければいけないと思っています。
 中学校4校、小学校8校という小さな規模であっても、各地域によって実態が違い、それぞれの良さと、解決しなければならない課題があることを、教育委員会は充分承知しているはずです。学校は地域の拠点であり、そこを見据えた検討がなされるべきです。
 柚木教育長からは 「学校を経営するに当たっては、家庭や地域、学校が有機的に連携して、相互に信頼し合いながら、地域全体で子どもたちを育てていき、その中で地域全体も成熟、成長していくような形を目指していきたい。」 との答弁がありました。
 私は「志木市における教育」は、学校教育、社会教育等、あらゆる機会を通じての人づくりであり、市民協働、住民自治のかなめと、大変重要に考えています。
 志木市の教育に対する市民の関心が高いのは、そのことを市民がよくわかっているからで、その教育風土、志木市の文化というものが、小さいけれども志木市を脈々と今日まで支えてきたと思っています。
 もう一度行政関係者、教育委員会の皆さんにはそのことを十二分に認識し、子どもたちを真ん中に置いた暖かい教育のあり方を追求していっていただきたいです。


6.社会教育について
 志木市の社会教育の課題と実践について
 富士見市1.要援護者支援について参照)の例、長野県での地区公民館、武蔵野市では住民による運営委員会が各地区コミュニティセンターを運営し、事業も行なう等、公民館等は住民自治の拠点であり、社会教育はその基盤であると、私は大変重要に考えています。
 志木市では穂坂市長のときに、公民館を貸し館主体とする考え方のもと、行政パートナーの導入に追われ、結果的に志木市が進めてきた地域コミュニティづくり、また、地域の課題を解決していくための住民の学習、その方策について情報提供をしていくという社会教育の使命が薄まってきたのではないかとの危機感を、私は持っています。
 財政状況も厳しく、少子高齢化、地域のコミュニティが崩壊していきかねない状況の中でこそ、今日の社会情勢の中で取り組むべき地域の課題をしっかり見つめながら、社会教育として課題解決のための活動を行っていく必要があります。
 以前は社会教育主事のネットワーク会議等もあり、日々そうした活動を積み上げつつ職員を育ててきましたが、近年は行われていないと聞いています。
 生涯学習課を含め、職員同士の連携を図りつつ、社会教育の課題を明らかにし、実践につなげていただきたいです。
 柚木教育長からは、 「社会教育の本質は、私たち一人ひとりが暮らしの中で感じている生活の課題や地域の課題に根ざした学びであると考えている。
 これまで公民館等を中心に、ともに学びあう総合学習に取り組む中で、生活課題の解決に向けた学習や地域づくりのための学習を進め、多くの人材が育っていったといえる。
 その中で、新たな人材発掘やネットワークづくり、身近な社会教育、生涯学習情報の提供機能を一層充実していく必要がある。
 第2次生涯学習推進計画(2006年3月)の着実な推進を図るとともに、行政組織全体で課題を共有しながら充実させていきたい。」 との答弁がありました。
(2007年8月)
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