身近な地域で切れ目の無い高齢者サービスを
 和光市の高齢者福祉の一端を12月13日に視察し12月議会で提案しました。
 和光市新倉高齢者福祉センターは、介護保険の小規模多機能型介護施設と地域高齢者交流施設(老人福祉センター的機能)という二つの機能を持った施設です。
 もともと老人福祉センターでしたが、2006年度から介護保険制度に位置付けられた小規模多機能型居宅介護(「通い」を中心として要介護者の様態や希望に応じて随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせて提供するサービス)を、2007年4月から公募により指定管理者として高齢者福祉センターを管理運営している事業者が担っています。
 スペースは市が改修して、1部屋を3分割して泊まりの部屋をつくる等整備しました。
 わずか6人の職員(看護師、ケアマネジャー、社会福祉主事等の有資格者)が高齢者福祉センターと小規模多機能型居宅介護を合わせて運営しており、高齢者福祉センターとしては通常以上の有資格者、専門職が従事できることになります。
 市が改修・整備した筋力向上トレーニングルームは週6日間休みなく稼動しています。週2日間は小規模多機能の「通い」で来られる方々が活用、週1日は市の地域支援事業として特定高齢者(生活機能の低下がみられ介護予防事業の利用が望ましいと認められた方)と一般高齢者(自ら介護予防事業への参加を申し込んだ方)が半日ずつ活用、その他は講習を受けた高齢者福祉センター利用者の方々がそれぞれの筋力の実態に応じて活用しています。
 和光市では3つの日常生活圏域にそれぞれ地域包括支援センター、小規模多機能生活拠点を設置し、認知症や生活機能の低下に対する予防からケアまでを包括的に地域の実態に応じて行っています。
 スペースとしても一般高齢者から要介護度のある高齢者の方々まで、切れ目なく施設が活用され、さらに、1つの事業者が、一般高齢者から徐々に要支援、要介護になっていくという実態に応じて、同じ事業者が地域で顔の見えるかかわりの中で支えていく仕組みをうまくつくっています。
 和光市の政策的に吟味されたしくみづくりは志木市でもできることだと思います。和光市では市主導で高齢者一人ひとりをとりまく様々な課題を調整、解決に導くためのコミュニティケア会議を毎週行っています。8月に視察しましたが、市、地域包括支援センターをはじめサービスに関わる全ての事業者が集まり、1つ1つケースに対して、どんな心身の不自由さ、家庭内での困難さ等があっても、その状態なりの介護予防と自立に向けて、ここまでやるのかと思う程真剣な議論ときめ細やかな支援体制に驚きました。こうして職員も民間事業者も共に成長していくのだと思います。
 志木市でも地域ケア会議はありますが年1回程度、あとは個々の調整に留まっています。
 より実態把握を十分にすることにより政策立案につなげていく。それを縦割りではなく組織が一体となって取り組むことにより、市民や民間の方々から頼りにされる行政のマネジメント機能を果たしていくことを市長に求め、市長からは「ご指摘いただいた内容には、大変示唆に富む内容が含まれているので、今後の高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画を策定する中で、その旨指示していきたい。」との答弁がありました。
また、和光市は2009年度、3つの日常生活圏域毎にそれぞれ高齢者専用賃貸住宅を公募し、1階と2階に24時間の訪問看護ステーションと在宅療養支援診療所(2006年度医療法改正で位置付けられた24時間型で往診、みとり等ができる医療機関)を配置するということです。
 長沼市長は「介護と医療の連携については大変重要な問題であると認識している。本市においては市民病院という他にはない医療資源があるので、訪問看護ステーションを活用して、介護保険を利用されている方々に対する24時間の訪問看護はできないか、来年度に向けて研究している」との答弁がありました。
 市民病院の24時間訪問看護体制については長年働きかけてきましたので大変ありがたいことですが、それだけでは市全体の在宅で医療依存度の高いケースに対応しきれないと考えます。
 先ず、急性期の市民病院と地域の医療機関とが連携する中で、在宅医療をどのように進めていかれるのか、取り組んでいきます。
(2009年5月)
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